これは当たり前のことだけど、ループ設計を後回しにして作り始めると、完成間際に「つなぎ目が気になる」「違和感がある」という問題が出てくる。ゲーム音楽制作15年、ループ設計で気をつけていることを全部話す。
ループ設計は作り始める前に意識する
ループ設計で一番やりがちな失敗が、曲を完成させてから「さてループポイントをどこにしよう」と考えることだ。
ループは後付けで解決できる問題ではない。アレンジの段階からループを意識して作ることが基本だ。
特に重要なのが、ループして戻ったときにギャップが出ないようにすることだ。ループ前後で極端にボリュームが変わったり、楽器編成が大きく変わったりすると聴き手に違和感を与える。ループの入り口と出口で、同等のボリューム・同等の楽器編成を使うことを意識する。
アンビエント系は残響が最大の敵
ループ設計で特に注意が必要なのがアンビエント系の楽曲だ。
パッドのリバーブによる残響が強い楽曲は、ループしたときに違和感が出やすい。曲の末尾でリバーブの残響が続いているのに、ループして冒頭に戻ると音が途切れる。このギャップが「ブツッ」という不自然な印象につながる。
対処法は場面によって変わる。
パターンA:曲が終わり切ってからループする
場面的にやや無音に近い空白が許容されるのであれば、これが一番安全だ。残響が完全に消えてからループポイントを設定する。
パターンB:打楽器や立ち上がりの早い音でつなぐ
無音の空白が許容されない場面では、ループポイントの前後に打楽器や立ち上がりの早い音を入れる。残響の違和感を目立たせずに馴染ませることができる。残響が強いアレンジそのものを見直すことも選択肢に入る。
書き出し時のノイズがループのプチノイズになる
ループ設計で見落としやすいのが、書き出したファイルのノイズ問題だ。
マスターにかけたコンプが原因で、書き出したファイルの冒頭にクリップノイズが入ることがある。DAW上で再生している分には気づかないが、書き出したファイルをループ再生するとプチノイズとして現れる。
対処法はシンプルだ。書き出したファイルをRX7で開いて、冒頭と末尾のクリップノイズを除去する。末尾も同様の問題が起きやすいので必ずチェックする。
ループチェックの手順はこうだ。
- 書き出したファイルをRX7で開く
- 冒頭のクリップノイズを確認・除去する
- 末尾も同様に確認・除去する
- メディアプレイヤーなどでループ再生して実際に確認する
DAW上での確認だけで終わらせず、必ず書き出したファイルをループ再生して耳で確認することが大事だ。
ループポイントの決め方
ループポイントはフレーズの区切りに設定するのが基本だ。
小節の頭・フレーズの終わり・コード進行が一周するタイミングなど、音楽的に自然な区切りを選ぶ。中途半端なタイミングに設定すると、ループしたときにメロディやコードが不自然に聴こえる。
イントロを設けてループさせない構成にする方法もある。タイトル画面やエンディングなど、1回だけ流したいシーンではイントロを長めに取って、ループ部分はシンプルにまとめる。この構成だとループの設計がシンプルになる。
まとめ
ゲームBGMのループ設計をまとめる。
- ループは後付けではなくアレンジ段階から意識する
- ループ前後でボリューム・楽器編成を揃えてギャップをなくす
- アンビエント系は残響の処理が最大の課題。空白が許容できるなら終わり切ってからループが安全
- 書き出し後にRX7で冒頭・末尾のクリップノイズを除去する
- 必ず書き出したファイルをループ再生して耳で確認する
ループ設計は地味な工程だけど、プレイヤーが長時間聴き続けるゲームBGMほど重要度が増す。最後の確認を丁寧にやるだけで、完成品のクオリティが変わる。
ゲーム音楽制作のワークフロー全体については、こちらも参考にしてみてほしい。
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