coconalaでミックス・マスタリングや楽曲制作を続けてきて、リピート率は43%になっている。低くない数字だと思う。でもこの数字自体より、「リピートを取りに行く」と意識し続けたことが、自分の技術もコミュニケーションも仕事に必要な周辺スキルも、結果として伸ばしてくれた。これが今振り返って一番大きな実感だ。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
リピート率を意識することが、結果として自分を伸ばす
「リピートしてもらうにはどうすればいいか」を考え続けると、不思議と作家としての筋肉が育つ。
- 納品物のクオリティを引き上げる意識
- クライアントとのコミュニケーション設計
- 納期管理、進捗共有、修正対応
- 合う合わないを見極める判断力
リピートを意識すると、これらが自然に磨かれていく。「次もお願いされる」を前提にすると、目先の一案件で雑な仕事ができなくなるからだ。
結果として、僕が意識してきたいくつかのことが、リピート率43%という数字に繋がったと考えている。以下、具体的に書いていく。
リピート案件は、お互いのコミュニケーションコストを下げる
リピート案件を積極的に獲得したい理由は、シンプルだ。
お互いのコミュニケーションコストが減る。
毎回「はじめまして」で仕事の進め方やクライアントの好みを探りながら作業する、というのは、作業以外のコストが意外と高い。
- 好みのジャンル感
- 修正の出し方の癖
- 納品ファイル形式の好み
- 連絡のテンポ感
これらが既に共有できているリピート案件は、納品物のクオリティや納品スピードに集中できる。すると、制作に新しいチャレンジや追加の試行錯誤をする余裕が生まれる。
リピートは作家にとって、技術を磨く時間を確保する手段でもある。
返信は速く、質問は相手の負担が少ない形で
返信スピードは必須項目だ。これは別記事でも書いた通り、副業で音楽の仕事を取りたいなら最初に鍛えるべき習慣だと思っている(音楽仕事で一番大事なのは、返信の速さかもしれない)。
その上で、もう一段意識しているのが質問の出し方だ。
例えばクライアントから「料理動画に使う明るい曲が欲しい」というリクエストが来たとする。
NGパターンの質問はこう。
「どういう明るさですか?楽器は何を使いますか?」
これだと相手は返信に時間を使う。「明るさ」も「楽器」も曖昧で、自分でゼロから言語化しないといけないからだ。
僕がやっているのはこっち。
「アコースティックギターとマリンバを主体とした、ちょっとゆったりしたテンポの曲が、料理動画に合うかと思います。例えばこんな雰囲気です→[YouTubeリンク]」
こうすると、相手は「合ってる」か「違う」かを判断するだけで済む。返信に必要な思考量が圧倒的に少ない。
提案する案は、最大3つくらいまで。多すぎるとそれはそれで相手の負担になるので、やりすぎない。
ヒアリングは、相手に考えさせる作業ではなく、相手が「YES/NO」で答えられる選択肢を用意する作業だ。
制作中の沈黙を、先回りして消す
制作に入る前に、僕は必ずこう伝える。
「⚪︎日以内に整った音源を送ります」
納期は事前に決めていたとしても、制作に入ると最短でも数日連絡が途絶える。この沈黙の時間が、相手の不安を生む。
「ちゃんと進んでるかな?」「忘れられてないかな?」
そういう不安を、こちらから先回りして消す。「5日以内に送ります」と伝えるだけで、相手は5日間、心配せずに自分の仕事に集中できる。
そして、これはこちらにとっても良い習慣だ。
制作中に「いつまでにもらえますか?」という連絡が来ると、こちらのテンションも下がる。集中が切れる。先に「5日以内」と伝えておけば、その確認連絡が来なくなる。
やらない理由がない、と思っている。
「デモ」「初稿」という言葉を、僕は使わない
これは個人的なこだわりの話。
最初の音源を送る時、「デモです」「初稿です」という言い方を僕はしない。
これらの言葉は修正や変更を前提とした言い回しだ。送る側もどこかで「直されること前提」になり、受け取る側も「直すべきところを探す」モードで聴く。
すると、こちらの修正想定と相手の想定のギャップが予測できなくなる。
だから僕は、最初の音源送付時点でもこう伝える。
「こちら、マスタリング前のミックス工程まで整えております」
最初から本気で出す。これが大事な心構えだと思っている。
結果として:
- 修正の回数が減る
- 「ここからブラッシュアップしてもっとよくして」という認識のズレを回避できる
- 納期短縮にも繋がる
このスピード感を喜ぶクライアントが、リピーターになってくれていると考えている。
合わないクライアントとは、距離を取る勇気を持つ
ここまでリピート獲得を重視する話を書いてきたけど、最後に逆の話。
「この人は合わない」という感覚があった場合は、無理をしないのも大事だと思っている。
むしろ、フィーリングが合うクライアントと丁寧に作品を作っていくために、自分に合わないクライアントやプロジェクトとは積極的に距離を取る姿勢が、重要だとすら感じている。
合わない関係を続けると、どうなるか。
- 時間や労力を必要以上に浪費する
- 新しく「合う」プロジェクトとの出会いの機会を妨げる
- 制作のテンションが下がり、納品物にも影響が出る
合わないと思ったら手を引ける自由さも、フリーランスの長所のひとつだ。有効活用していきたい。
リピート獲得は重要。でも「誰とでもリピートしたい」ではなく、「合う人とは長く付き合いたい」というスタンス。これが結果として、健全な仕事関係と数字の両方を作っていると思う。
まとめ
- リピート意識が、技術もコミュニケーションも周辺スキルも勝手に伸ばしてくれる
- リピート案件はお互いのコミュニケーションコストを下げ、制作に集中する余裕を作る
- ヒアリングは、相手が判断するだけで済む選択肢の形で出す
- 制作中の沈黙は、先回りして消す。「5日以内に送ります」を伝えておく
- 「デモ」「初稿」と呼ばず、最初から本気で出す
- 合わないクライアントとは距離を取る。リピート重視と矛盾しない
副業で音楽の仕事を始めたばかりの人ほど、目先の一案件に集中しがちになる。でも「次もお願いされるには」を意識し続けると、自分の作家としての成長スピードも変わってくると思う。











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