ギターがゲーム音楽に与えてくれたもの

ゲーム音楽を作るようになって気づいたことがある。自分の武器のかなりの部分が、ギターとバンドの経験からできているということだ。もともとはバンドでギターとボーカルをやっていた。その頃に身につけたものが、今のゲーム音楽制作に地続きでつながっている。ギターが自分に与えてくれたものを、3つに分けて書く。

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演奏経験が、打ち込みをリアルにする

ギターを弾いてきた経験は、打ち込みのリアリティに直結している。

ギターには、運指がある。指がフレット上をどう動くか、どの弦をどう押さえるか。実際に弾けると、「この動きは物理的に無理」「このフレーズはこう弾くから、こういうニュアンスになる」という感覚が体に入っている。だから打ち込みでギターを再現する時も、実際の演奏で起こることを再現できる。

たとえば、弦を移動する時の微妙なタイミングのズレ。ピッキングの強弱によるニュアンスの変化。チョーキングやスライドといった奏法の癖。こういったものは、弾いたことがないと打ち込みで再現しづらい。ギター経験があると、「本物ならこうなる」を知っているから、打ち込みが生っぽくなる。

これはギターに限らず、他の楽器の打ち込みにも応用が効く。一つでも生楽器を演奏した経験があると、「楽器を演奏するとはどういうことか」という身体感覚が身につく。その感覚が、打ち込み全般のリアリティを底上げしてくれる。

楽器を弾ける人は「本物ならこうなる」を知っている。その身体感覚が、打ち込みのリアリティを決める。

バンドアレンジが、曲の構成力になる

バンドで曲を作ってきた経験は、曲の構成力になっている。

バンドのアレンジは、限られた楽器で曲を成立させる作業だ。ギター、ベース、ドラム、ボーカル。この編成の中で、どこで音を足して、どこで抜くか。キメをどこに置くか。盛り上がりをどう作るか。こういった構成の判断を、バンド時代に何度も繰り返してきた。

特に「抜き差し」の感覚は、ゲーム音楽で大きく活きている。全部の楽器が鳴りっぱなしだと、曲は単調になる。どこで楽器を抜いて空間を作り、どこで一気に足して盛り上げるか。このメリハリの付け方は、バンドアレンジで体に染み込んだものだ。フィールドBGMで「谷」を作る話も、根っこはここにある。

キメの感覚も同じだ。バンドでメンバーと「ここでキメを入れよう」と合わせてきた経験が、劇伴での決めどころの判断につながっている。ここぞという場面で全体をピタッと合わせる快感は、バンドで覚えたものだ。

生ギターが、差別化の武器になる

そして、生ギターを録音できること自体が、差別化の武器になっている。

DTMだけで完結するクリエイターは多い。その中で、実際にギターを弾いて録音できると、それだけで他と違う音が出せる。打ち込みのギターと、生で弾いたギターは、やはり質感が違う。特にロックやメタル系のBGMでは、生ギターの説得力は大きい。

自分の場合、これをゲーム音楽の武器にしている。たとえば和風のバトル曲で、太鼓や尺八に生ギターを組み合わせる。オーケストラにロックギターを乗せる。こういう組み合わせは、ギターを弾けるからこそ自然にできる。打ち込みだけでは出せない、自分ならではのサウンドになる。

副業DTMerとして考えると、これは大きな強みだ。他の人と同じ音源、同じ打ち込みで勝負すると、埋もれやすい。でも「生ギターが弾ける」という一点があるだけで、提供できる音の幅が変わる。自分にしかない武器を持つことは、競争の中で選ばれる理由になる。

打ち込みだけの人が多いからこそ、生楽器が弾けることは差別化になる。自分にしかない武器は、選ばれる理由になる。

まとめ

  1. 演奏経験が打ち込みをリアルにする。「本物ならこうなる」を知っているから生っぽくなる
  2. バンドアレンジが曲の構成力になる。抜き差しやキメの感覚が劇伴に活きる
  3. 生ギターが差別化の武器になる。打ち込みだけの人が多い中で、選ばれる理由になる

ギターとバンドの経験は、ゲーム音楽をやる上で、思っていた以上に大きな財産になっている。もし今、何か楽器を弾ける人がゲーム音楽を始めようとしているなら、その経験は必ず武器になる。逆に、これから何か楽器を触ってみようか迷っているなら、やってみる価値はある。演奏の経験は、DTMの中で確実に活きてくるからだ。

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