1曲のゲームBGMができるまでには、いくつかの工程がある。全体の流れを分けて理解しておくと、どの段階で何をすればいいかが明確になって、作業が安定する。自分が普段どういう順番で1曲を仕上げているか、実際の制作フローを公開する。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
① レファレンス確認・方向性の決定
制作の最初は、レファレンス確認と方向性の決定だ。
依頼の場合は、クライアントから提示されたレファレンス曲を確認する。なければこちらから「こういう感じを想定しています」と提案して、方向性をすり合わせる。ここで曲の雰囲気、テンポ感、ジャンルといった大枠を固める。
この工程をしっかりやっておくと、後の作業が迷わない。方向性が曖昧なまま作り始めると、途中で「何を作っているんだっけ」となって手が止まる。最初に行き先を決めておくことが、結果的に制作スピードを上げる。
② スケッチ
方向性が決まったら、スケッチに入る。ここはゼロから生み出す工程なので、頭がクリアな朝の時間に持ってくることが多い。
スケッチ段階で決めるのは、コード進行と曲の構成だ。メロディは仮で入れる。仮メロは後で差し替えることも多いので、この段階では完璧を目指さない。曲全体の骨組みを作るイメージだ。
ジャンルによっては、リフやメインテーマのような印象的なフレーズが先に出てくることがある。その場合は、それを中心に曲の構成を組み立てる。曲の核になる部分が決まると、全体の設計がスムーズになる。
このスケッチと並行して、音色の選定もざっくり進めていく。メインの音色や使いたい音色が決まってくると、次のアレンジ・打ち込みが格段にスムーズになる。骨組みと音色を同時に固めていくのが、自分のやり方だ。
スケッチ段階でメインの音色まで決めておくと、アレンジで迷わない。骨組みと音色は、同時に固めていく方が効率がいい。
③ アレンジ・打ち込み
骨組みと音色が決まったら、アレンジと打ち込みに入る。
スケッチの段階で使いたい音色が決まっているので、この工程はスムーズに進む。各パートを打ち込んで、曲を肉付けしていく。スケッチで作った構成に沿って、イントロ・展開・盛り上がりといった流れを具体的な音にしていく。
仮で入れていたメロディも、この段階でブラッシュアップする。アレンジが具体的になってくると、仮メロのままでいい部分と、差し替えたい部分が見えてくる。全体のバランスを見ながら、メロディを確定させていく。
ループ前提のゲームBGMの場合は、この段階でループのつなぎ目も意識する。終わりから頭に自然に戻るように構成を組んでおく。
④ ミックス
ミックスは、実は打ち込みと並行して大まかに進めている。打ち込みながら「この音は大きすぎる」「ここは引っ込めたい」といった調整を、ある程度はその場でやっている。
ただ、本格的なミックスは打ち込みが終わってから始める。まずフェーダーで各パートのバランスを取るところからスタートする。全体の音量バランスが整ってから、EQやコンプ、空間系の処理に入っていく。
フェーダーバランスを最初にしっかり取ることが大事だと思っている。ここが整っていないと、EQやコンプでいくら調整しても、なかなかまとまらない。土台のバランスを作ってから、細部を詰めていく順番だ。
打ち込みながら大まかに整えておくことで、最終的なミックスの負担も減る。完成形をイメージしながら作っていくと、後工程が楽になる。
⑤ マスタリング
ミックスが固まったら、マスタリングで仕上げる。
曲全体の音圧や音質を整えて、最終的な完成形に持っていく。ゲームBGMの場合、他の曲やSEと一緒に鳴らされることを意識して、極端に音圧を上げすぎないバランスを意識する。
作曲からマスタリングまで一人で完結できると、自分のイメージ通りに最後まで仕上げられる。各工程が頭の中でつながっているので、ミックスの段階から「マスタリングでこう仕上げる」という見通しを持って作業できるのも利点だ。
⑥ 書き出し・納品
最後に、指定された形式で書き出して納品する。
ゲームBGMの場合、WAVの24bit/48kHzで書き出すことが多い。プロジェクトで形式の指定があれば、それに従う。ループ曲の場合は、ループポイントの扱いも仕様に合わせて書き出す。
納品前に、改めて全体を通して聴く。書き出したファイルにノイズやミスがないか、最終チェックをしてから納品する。ここで気を抜くと、せっかくの曲が台無しになることもあるので、最後まで丁寧にやる。
書き出した後の最終チェックは省かない。制作中には気づかなかったミスが、通して聴くと見つかることがある。
まとめ
- レファレンス確認・方向性の決定:最初に行き先を決めると作業が迷わない
- スケッチ:コード進行と構成を決め、メロディは仮。音色選定も並行する
- アレンジ・打ち込み:決まった音色を軸に肉付け。仮メロもここで確定させる
- ミックス:打ち込み中に大まかに、完了後フェーダーバランスから本格化
- マスタリング:全体を整える。他の曲やSEとの共存を意識する
- 書き出し・納品:指定形式で書き出し、最終チェックを忘れない
1曲の制作フローは、工程を分けて考えると安定する。特に、スケッチで骨組みと音色を同時に固めることと、ミックスでフェーダーバランスから入ることは、自分の中で効率を上げているポイントだ。制作の流れに迷っている人の参考になればと思う。












コメントを残す