「センスがある」と言われる人の正体」

「センスがある」と言われる人の正体は、たぶん才能じゃない。古今東西の優れたものを真似て、真似て、真似続けて、数えきれない試行錯誤の中で「これは良い!」が更新されていく。そのストックの総量が、「センス」と呼ばれているんじゃないかと思う。15年音楽をやってきて、僕が今のところたどり着いた仮説だ。

「センスがある」と言われる人の正体

結論を先に書く。

センスは生まれつきの才能じゃなく、試行錯誤のストックでできていると僕は思う。

そして、そのストックを増やし続ける源泉は、「これをより良くできないか?」という思考の癖だ。

これに気づいてから、「センスある人」を見る目が少し変わった。あの人はセンスがある、じゃなく、あの人は試行錯誤を積み重ねている、と見るようになった。

幼少期のクラスにいた「センスある」と思っていた女の子

幼少期、クラスにピアノが上手い女の子がいた。

当時の僕は、彼女のことを「センスがある子」だと思っていた。実際、彼女のピアノは特別だった。歌の伴奏を聴く機会が多かったけど、彼女のピアノは「歌っている」演奏だった。当時の小学生の僕ですら、他の子のピアノとの違いがわかった。

でも、後になって考えると、彼女はすでに圧倒的な時間を練習に費やしていた

僕が外で遊んでいる間に、彼女は週5回のレッスンに通っていた。家でも練習をしていたはずだ。僕の目には「センスがある子」に映っていたけど、その背後には膨大な時間の積み重ねがあった。

もちろん、生まれ持った才能もあったのかもしれない。それは否定しない。

でも、彼女が捧げた練習時間を無視して「センスがあった」で片付けるのは、なんだか気が引けるじゃあないか

ギターを集中的に練習して、見えてきたもの

その後、僕自身がギターを集中的に練習する時期があった。

20代でロックバンドをやっていた時期だ。古今東西の優れたプレイヤーたちの技術を、真似た。

真似て、真似て、真似続けて、ようやく似たことができるようになる。

そこで終わらず、何が違うのかを考えて、さらに似せようと努力する。疲れたら違う方向で良い演奏になる方法はないか模索する。フレーズの細部、音色、タイミング、力の入れ方。試せるものは全部試す。

こういう試行錯誤を続けていく中で、「センス」の正体が少しずつ見えてきた気がする。

「これは良い!」が更新されていく頻度

練習を続けていると、ある瞬間が訪れる。

「これは良い!」

過去の自分の演奏より、明らかに一歩進んだ感覚。これが、自分の中の「良いの基準」を更新する瞬間だ。

でも、これは滅多に起きない。

体感では、数百回に1回。時々、数十回に1回。練習を重ねていれば、頻度は少しずつ上がる。でも、頻繁には起きない。

そして、これを更新するたびに、自分の中に「良い」のストックが1つ増えていく。

このストックの種類と数の総数が、「センス」と呼ばれるものの正体じゃないかと、僕は思っている。

たくさん試行錯誤した人ほど、ストックが多い。ストックが多い人ほど、「これとこれを組み合わせたらどうなる?」「ここはこの方向で攻めれば良くなる」という選択肢を持っている。それが他人の目には「センスがある」と映る。

「良い」のストックは、音楽以外にも広がっていく

面白いのは、この「良い」のストックは、音楽だけにとどまらないということ。

日常生活、趣味、交友関係、会話のクセ、文章の書き方、料理、服選び、ありとあらゆる行いに、「良い」のストックは存在している。

そして、それぞれが影響を与え合っている

音楽で培った「良い」の感覚は、文章を書く時の言葉選びに影響する。会話で培った「間」の感覚は、楽曲のグルーヴ感に影響する。料理で培った「組み合わせ」の感覚は、アレンジの楽器選びに影響する。

だから「センスいい」と言われる人は、他のジャンルに初めて挑戦しても、勘どころがわかっていたりする。それまで蓄積してきた「良い」のストックが、新しいジャンルでも応用される。

そしてその新しいジャンルでも、また「センスがある」と言われ、さらに「良い」のストックが蓄積されていく。良い循環だ。

「これをより良くできないか?」という思考の癖

じゃあ、その「良い」のストックを増やすには、何が必要か。

強いて一言で言うなら、「これをより良くできないか?」という思考の癖だと思う。

同じことを繰り返すだけでは、ストックは増えない。「もう少し良くできるはず」という疑問を、毎回の作業に持ち込めるかどうか。

これは才能の話じゃない。思考の習慣の話だ。

そして思考の習慣は、後天的に身につけられる。今日から始められる。「センスがない」と思って諦める必要はない。

あの幼少期の女の子も、たぶん「もっと良く弾けるはず」と思いながら、毎日鍵盤に向かっていたんだと思う。週5回のレッスンの中で、彼女の中の「良い」のストックは確実に増えていた。

まとめ

  1. センスは生まれつきの才能じゃなく、試行錯誤のストックでできている
  2. 真似て、考えて、模索する。その中で数百回に1回「これは良い!」が更新される
  3. 「良い」のストックは音楽以外にも広がり、ジャンルを超えて影響し合う
  4. ストックを増やす源泉は、「これをより良くできないか?」という思考の癖

「センスがない」と思って諦める前に、目の前の作業に「もう少し良くできないか?」と問い直してみるといい。それが今日から始められる、センスを育てる第一歩かもしれない。

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