ゲームの「気持ちよさ」の大部分は、プレイヤーが無意識に感じている。そしてその無意識の快感は、効果音の設計から生まれていることが多い。15年ゲーム音楽を作ってきて、この確信は年々強くなっている。BGMより先に、効果音がプレイフィールを決める。
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プレイヤーが無意識に感じる快感は、SEの設計から生まれる
ゲームをプレイしていて「なんか気持ちいい」と感じる瞬間がある。逆に「なんか物足りない」と感じる瞬間もある。
この差の多くは、効果音が作っている。
BGMは意識に上る。プレイヤーは「いい曲だな」と思える。でも効果音は意識されない。それでも体験を決定的に左右している。
だから効果音の設計は、ゲームデザインそのものだと僕は思っている。
アクションSEは、画面の動きとのシンクロで気持ち良くなる
アクションゲームの攻撃SEで一番大事なのは、画面の動きとのシンクロだ。
例えば、攻撃と共に画面が揺れる仕様だったとする。揺れの長さ、揺れ幅、タイミングとSEがシンクロすることは大前提。ここがズレると、作りかけのような不安な印象になる。
そこに音自体の設計が乗ってくる。
- 音そのものの爽快さ(ヒットの質感、帯域バランス)
- BGMに埋もれない立ち上がりの速さ(アタックの鋭さ、帯域の抜け)
- 余韻の処理(次の入力を邪魔しない長さ)
アクションの気持ちよさは、この複合で作られる。どれか一つが欠けても成立しない。
効果音は「演出」が加わってこそ気持ちいい
効果音はリアルじゃない方がいい、という場面がある。むしろ「演出」が加わった音の方が圧倒的に気持ちいい。
パンチの音を例にする。ボディーブローを実際に受けても、ゲームや映画みたいな「ドゴッ」という音はしない。あれは「当たったら痛そう」という演出が加わった音だ。
刀を抜くシーンもそう。カッコいいムービーだと金属音が「シャー…」って入りがち。でも実際は、刀と木製の鞘が擦れてあの音はしない。
でも鳴った方がカッコいいし、気持ちいい。
本当は鳴らないけど、鳴った方がいい音。これを見つけて入れていくのが効果音設計の責任だし、面白いところだ。リアル追求じゃなく、気持ちよさを追求する。ここがSE作りの醍醐味。
「昔夢中になったゲームの音」が持つ力
効果音には、過去の体験を連れてくる力がある。
コインを手に入れた時の音。リアルに「ジャラッ!」という音ももちろんいい。でも、スーパーマリオの記号化された「ポイーン!」もすごい発明だ。
実物のコインの音とは似ても似つかないのに、プレイヤーは迷いなく「コインを取った」と認識する。そして嬉しくなる。
これは記号化の力だ。世代を超えて受け継がれた「ゲーム的な音」の語彙がある。
新しい音を作るのもいい。でも、先人の知恵に乗っかるのも良いアプローチだ。プレイヤーの記憶が勝手に助けてくれる。
UIの音は、世界観そのものを支えている
UIのSEは、意識に上らなくていい。でも、絶対に必要だ。
UIのグラフィックがゲームの世界観を象徴するように、UIのサウンドもそれを支える重要な役割を持っている。
例えば、近未来SFを舞台にしたアドベンチャーゲーム。
決定音やキャンセル音は、機械的な音の方がしっくりくるはずだ。木や紙の柔らかい音では世界観とズレる。
理想は、音を聞いただけでグラフィックが浮かぶサウンド。さらにその先を狙うなら、グラフィック素材の印象を再現するだけじゃなく、再現を超える驚きを作ること。
「確かに、このぼんやり光るボタンを押したらこういう音しそう!」
そう思わせる音を作れたら、UIサウンドの設計として成功だ。
報酬SEは、プレイヤーを祝福する気持ちで作る
報酬に関わるSEを作る時、僕はプレイヤーを祝福するような気持ちで作る。
ファンファーレなら「おめでとう!」という感じが伝わるように。
アイテムをゲットした時も「やったぜ!」とプレイヤーが思えるように。
単に「音が鳴る」じゃなく、作り手の感情が音に乗っているか。ここが報酬SEの肝だ。
この気持ちは音を通じて伝わる。と、僕は思っている。プレイヤーから「この音で祝福されました!」とは言われたことはないけど。でも、自分なりにうまく「やったね!」っていう気持ちを乗せられたと思う音に決められた時。プレゼントを渡した時みたいな嬉しさがある。開発メンバーにも通じてると思う。だから周辺の演出にも特に気配りが入ったりする。結果、プレイフィールは向上する。
まとめ
- アクションSEは、画面の動きとのシンクロ+音自体の設計で気持ち良くなる
- リアルより「演出」が勝る音を見つけるのがSE設計の面白さ
- 記号化された「ゲーム的な音」の語彙は、プレイヤーの記憶が助けてくれる
- UIの音は意識に上らなくていい、でも世界観を支える
- 報酬SEは、プレイヤーを祝福する気持ちで作る
BGMと同じくらい、効果音にも設計の意図を込めたい。プレイヤーの無意識に届く音を作るのが、ゲーム音楽作家の仕事だ。












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