打ち込みが『打ち込みっぽく』聞こえる理由と対処法【脱・機械的サウンド】

打ち込みで作った曲が、どうしても「打ち込みっぽく」聞こえてしまう。生楽器のような自然さが出ない。これは多くのDTMerが抱える悩みだ。でも、いくつかのポイントを押さえれば、機械的なサウンドはかなり解消できる。自分が実際にやっている対処法を、具体的に解説する。

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ベロシティを手作業で調整する

打ち込みっぽさを解消するのに一番効くのは、ベロシティの手作業調整だと個人的には思っている。

すべての音が同じ強さで鳴っていると、それだけで機械的に聞こえる。生の演奏は、一音一音に微妙な強弱の違いがある。これを手作業で再現していく。地道だけど、効果は大きい。

特に意識したいのが、使っている音源のクセを理解することだ。たとえばドラムは、音源によってベロシティによる出音の変化が全然違う。同じベロシティの値でも、音源が変われば鳴り方が変わる。だから、使っている音源がベロシティにどう反応するかを把握することが前提になる。

音源にサンプルパターンやデモが付いている場合は、それを参考にするのも有効だ。プロが作ったパターンのベロシティ設定を見ると、「この音源はこういう強弱の付け方が自然なんだ」という基準がわかる。それを参考に自分の打ち込みを調整していく。

ベロシティの手調整は地味だが、打ち込みっぽさの解消に一番効く。音源ごとのクセを理解することが、その前提になる。

タイミングも手作業で整える

タイミングも、手作業で調整する。

すべての音をジャストのタイミングに置くと、きっちりしすぎて不自然になる。生の演奏には微妙なタイミングの揺れがあり、それが人間らしさになっている。

MIDIキーボードで弾いたタイミングを活かすのも一つの方法だ。手で弾いた演奏には、自然な揺れが含まれている。ただ、聞いて気持ちいいタイミングが一発で弾けるとは限らない。だから、弾いた後に必ず調整する。演奏のニュアンスを残しつつ、気持ちよく聞こえるように微調整していく。

打ち込みでも手弾きでも、最終的には「聞いて気持ちいいか」を基準に手で整える。この一手間が、機械的なタイミングを自然なものに変えていく。

アーティキュレーションを使い分ける・レイヤーする

生楽器をリアルに聞かせるには、アーティキュレーション(奏法)の使い分けが重要だ。

具体例を挙げる。自分はエレキギターやロック系のドラムを使うことが多く、音が分厚くなりがちだ。こういう編成の中でストリングスをレガートで使うと、音の輪郭が失われやすい。さらに、レガートは発音がゆるやかな分、タイム感が遅れて聞こえてしまうこともある。

そういう時は、スタッカートやスピッカートをレイヤーする。レガートに歯切れのいい奏法を重ねることで、輪郭とタイム感を補強する。一つのアーティキュレーションで足りない部分を、別の奏法で補うイメージだ。

これをやるには、音源にどんなアーティキュレーションが入っているかを把握しておく必要がある。音源を買ったら、収録されている奏法を全部試してみる。そうすると「この箇所はこっちのパッチの方が合う」という判断ができるようになる。引き出しが増えるほど、リアルな表現に近づく。

ベロシティ以外のパラメーターを使う

これは、Spitfire Audioのセミナーに参加した時に、プレゼンターが強調していたことだ。エクスプレッションやモジュレーションといったコントローラーを使いながら打ち込むべき、という話だった。

Spitfire Audioの音源は、モジュレーションコントローラーをいじると表情の変化がかなり顕著に出る。だからセミナーで強調していたのも納得だった。ただ、これはSpitfireに限った話ではない。他の音源でも、表情をつけられることが多い。

ベロシティだけでなく、エクスプレッションやモジュレーションを感覚的にMIDIコントローラーで扱う。これを覚えてから、表現の幅が大きく広がった。それ以来、大きな武器になっている。

音の強弱だけでなく、音色そのものの表情を時間軸で変化させる。これができると、打ち込みでも「演奏している」ような生々しさが出る。フェーダーやノブをリアルタイムで動かしながら録ると、機械的では出せないニュアンスが生まれる。

ベロシティ以外のパラメーターを感覚的に扱えるようになると、打ち込みの表現力が一段上がる。音の強弱だけでなく、表情そのものを動かす感覚だ。

本質は「音源を把握すること」

ここまでの対処法を振り返ると、すべてに共通する本質が一つある。それは「使っている音源を把握すること」だ。

ベロシティのクセを理解する。収録されているアーティキュレーションを全部試す。モジュレーションでどう表情が変わるかを知る。どれも、音源を深く理解することが土台になっている。

逆に言えば、新しい音源を次々に買っても、把握できていなければ打ち込みっぽさは解消できない。一つの音源を深く使い込んで、その特性を引き出せるようになる方が、リアルな表現には近づく。これは機材全般に言えることでもある。

打ち込みっぽさの解消は、テクニックの問題であると同時に、音源への理解の深さの問題でもある。手に馴染んだ音源を、その特性ごと使いこなす。それが一番の近道だと思っている。

まとめ

  1. ベロシティを手作業で調整する。音源ごとのクセを理解するのが前提
  2. タイミングも手作業で整える。手弾きを活かしつつ「気持ちいい」を基準に微調整
  3. アーティキュレーションを使い分け、必要ならレイヤーして輪郭とタイム感を補強する
  4. ベロシティ以外のパラメーター(エクスプレッション・モジュレーション)で表情をつける
  5. すべての本質は「音源を把握すること」。深く使い込むほどリアルに近づく

打ち込みっぽさは、一つの魔法のような解決策があるわけではない。ベロシティ、タイミング、アーティキュレーション、コントローラー。一つひとつの積み重ねが、機械的なサウンドを生っぽいものに変えていく。そしてその土台にあるのは、音源への深い理解だ。地道だけど、確実に効く方法ばかりなので、ぜひ試してみてほしい。

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