同じ1曲を作るにしても、どの工程に時間を使うかは、曲によって、人によって、そして時期によって変わる。自分の場合、DTMを始めた頃と今とでは、時間の使いどころがはっきり変わった。振り返ってみると面白かったので、比べてみたい。
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初心者の頃は、アレンジとミックスで沼っていた
DTMを始めた頃、一番時間を食っていたのはアレンジとミックスだった。
アレンジでは、ドラムとベースの打ち込みを、ちょっと変えては聴いて、ちょっと変えては聴いて、をひたすら繰り返していた。パターンを少し変えるたびに全体を聴き直して、また少し変えて。今思えば、そこまで細かくいじる必要はなかったんだけど、当時は止められなかった。
ミックスはもっとひどかった。とにかく時間をかけて試行錯誤していた。音圧を上げたい、でもバランスが崩れたんじゃないか。そういう不安から、あちこちをちょこちょこ変え続ける。一つ触ると別のところが気になって、また触る。終わりが見えないループにハマっていた。
今振り返ると、曲の良し悪しを決める本筋はそこじゃないと分かる。でも当時は、そこに時間をかけることが「ちゃんと作っている」ことだと思い込んでいた節がある。不安を、作業量で埋めようとしていたのかもしれない。
初心者の頃は、本筋じゃないところで沼っていた。不安を作業量で埋めようとしていたんだと思う。
番外:バンド時代は録音が沼だった
DTMとは別に、バンドをやっていた頃の話も少し。あの頃は、録音にとにかく時間がかかった。
ベストテイクをとにかく追い求めて、何度も弾き直し、歌い直していた。「今のはちょっと違う」「もう一回」を延々と繰り返す。納得できるテイクが録れるまで、粘りに粘った。
これはこれで、生演奏ならではの沼だ。打ち込みと違って、演奏は毎回微妙に違う。だからこそ「もっといいテイクが録れるはず」と思ってしまう。今思えば、どこかで割り切ることも必要だったけれど、当時はベストを求める気持ちが勝っていた。
沼にハマる場所は違っても、「納得いくまで止められない」という性質は、昔から変わっていないのかもしれない。
今は、スケッチと音作りに時間を使う
では今はどうか。一番時間を使っているのは、スケッチと音作りだ。
曲の最初の印象を、とても重視するようになった。どんなコード、どんなメロディ、どんな音色で始めるか。ここが曲の方向性を決めるからだ。最初の印象が良ければ、その後の作業は自然と転がっていく。逆にここが弱いと、後でいくら手を加えても、なかなか良くならない。
だから、作り始めの段階に一番エネルギーを注ぐ。スケッチで骨組みを作りながら、並行して音作りも進める。かっこいい音や、その曲の核になる音色を見つけることに時間をかける。ここが決まると、曲全体の完成度が大きく変わる。
初心者の頃は、アレンジやミックスという「後工程」に時間をかけていた。今は、スケッチや音作りという「前工程」に時間をかけている。この重心の移動が、自分の中で一番大きな変化だと思う。
アレンジ・ミックスは「線引き」ができるようになった
その分、アレンジやミックスには、当時ほど時間をかけなくなった。
もちろん、アレンジにじっくり時間を使える時は、こだわって作り込むこともある。でも、締め切りを意識すると、「ここまでは絶対にやる。ここからは余力があればやる」という線引きが、スッとできるようになった。
この線引きができるようになったのが、経験を積んで一番良かったことかもしれない。初心者の頃は、どこまでやれば十分なのかが分からなかった。だから、際限なく手を入れ続けてしまった。今は「これ以上やっても、曲の良さはそれほど変わらない」というラインが感覚でわかる。
時間は有限だ。特に締め切りのある仕事では、どこに時間を使い、どこで切り上げるかの判断が、そのまま仕事の効率になる。この線引きの感覚は、数をこなす中で少しずつ身についてきたものだと思う。
「ここまでは絶対、ここからは余力があれば」。この線引きができるようになったのが、経験で得た一番の変化かもしれない。
まとめ
- 初心者の頃は、アレンジとミックスで沼っていた。本筋じゃないところに時間をかけていた
- バンド時代は録音が沼。ベストテイクを求めて弾き直し・歌い直しを繰り返した
- 今はスケッチと音作りに時間を使う。最初の印象を重視するようになった
- アレンジ・ミックスは「ここまで絶対、ここから余力があれば」の線引きができるようになった
時間の使いどころが変わったというのは、結局のところ「何が曲の本筋か」が見えてきたということなんだと思う。初心者の頃は、それが分からなくて後工程で沼っていた。今は、前工程に集中して、後工程は線引きする。この変化は、たくさん曲を作ってきた中で自然と身についたものだ。もし今、アレンジやミックスで沼っている人がいたら、それはきっと通過点だ。作り続けていれば、時間の使いどころは変わっていく。






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