フリーBGMとオリジナル制作、どちらを選ぶべきか【ゲーム・動画制作の判断基準】

フリーBGMとオリジナル制作の選び方を解説する記事のアイキャッチ画像

BGMを用意する方法は、大きく2つあります。無料または安価に配布されているフリー素材を使うか、作曲家に発注してオリジナルを作るか。どちらが正しいという話ではなく、作品のどこにこだわりたいかで答えが変わる問題です。

この記事では、フリー素材を配布しつつオリジナル制作も受けている立場から、判断の基準を整理します。予算だけで決めると後悔しやすいポイントも書きました。

先に結論。音で差別化する必要がない場所はフリー素材、作品の顔になる場所はオリジナル。全曲どちらかに寄せる必要はなく、併用がいちばん現実的です。

判断を分けるのは「独占」「権利」「一致度」の3点

この3つに順番に答えていくと、おおよその結論は出ます。

  • 独占できる必要があるか:フリー素材は他の作品でも使われています。「聴いたことがある曲」が自分の作品で流れて困るなら、オリジナルです。
  • 権利をどこまで持つ必要があるか:サントラを販売したい、Content IDに登録したい、著作権管理団体に登録したい。こうした用途はフリー素材の利用許諾の範囲を超えるのが一般的です。
  • 作品と一致した曲がすでに存在するか:探せば理想の曲が見つかるジャンルもあります。一方で「和風ホラー」「特定の楽器編成」のようにニッチな要求は、探す時間のほうが高くつくことも多いです。

とくに2番目は後から取り返しがつきません。発売直前に「サントラを出したい」と気づいても、フリー素材の曲は入れられないのが普通です。譲渡と許諾の違いはBGMの著作権、譲渡と使用許諾はどう違うのかで詳しく書いています。

フリー素材で十分なケース

  • 予算がほぼゼロの個人制作・ゲームジャム作品:まず完成させることが最優先の段階。音に予算を割く前に、動くものを世に出すほうが得られるものが大きいです。
  • プロトタイプ・体験版:仮の音として入れて、製品版でオリジナルに差し替える流れは一般的です。
  • UI音・汎用的な効果音:決定音やカーソル音で差別化する作品はほとんどありません。ここはフリー素材で十分機能します。
  • 汎用性の高い環境音:雨、風、雑踏など。オリジナルで録るコストに対して、得られる差が小さい部分です。
  • 社内資料・企画プレゼン用の動画:外に出ないものに費用をかける必要はありません。

オリジナル制作が必要なケース

  • タイトル画面とエンディング:作品の印象を決める2枠です。ここが借り物だと、どうしても既製品の匂いが残ります。
  • ボス曲・重要な戦闘曲:プレイヤーがいちばん集中して聴く場面です。
  • サントラ販売・グッズ展開の予定がある:フリー素材はまず不可です。
  • 動画・配信で収益化する:フリー素材でも規約で認められていれば使えますが、Content IDへの登録は通常禁止されています。自分の作品を守るために登録したいなら、権利を持てる形にする必要があります。
  • 商業タイトル・法人案件:権利関係の明確さが求められます。使用範囲の証跡が必要になる場面で、フリー素材の規約は根拠として弱くなりがちです。
  • 特定の場面にぴったり合う曲がどうしても見つからない:探し続ける時間も原価です。3時間探して見つからなければ、発注のほうが早い可能性があります。

併用がいちばん現実的

実際の制作現場でよく取られるのは、この配分です。

おすすめ
タイトル・エンディングオリジナル
ボス曲・重要な戦闘曲オリジナル
汎用フィールド・汎用イベントフリー素材またはオリジナル
UI音・汎用効果音フリー素材
環境音フリー素材(特殊なものはオリジナル)
ジングル・スティンガーオリジナル(短尺なので安い)

ポイントは、短尺の曲は意外と安いことです。10秒前後のジングルは1点5,000円〜、30秒以内のBGMは20,000円〜なので、「全部オリジナルは無理でも、ここだけは」という判断がしやすい価格帯です。どの枠を優先すべきかはゲーム1本にBGMは何曲必要かも参考にしてください。

フリー素材を使うときに確認すべき5つのこと

  1. 商用利用の範囲:「商用OK」の定義は配布元ごとに違います。同人販売はOKでも法人案件はNG、という規約は珍しくありません。
  2. クレジット表記の要否と書き方:必要な場合、どこに何と書くかまで指定されていることがあります。エンドロールを組んでから気づくと面倒です。
  3. 再配布・素材そのものを売る行為の禁止:ほぼすべての配布元で禁止されています。素材集への収録や、軽微な編集での販売も該当します。
  4. Content IDや著作権管理団体への登録:これも大半が禁止です。動画で収益化する方は必ず確認してください。
  5. 規約の改定と素材の削除:規約は改定されますし、素材は取り下げられることがあります。長期運用する作品では、使った素材とダウンロード日を記録しておくと安全です。

なお、規約の解釈は配布元ごとに異なります。この記事は一般的な注意点の整理であり、法的助言ではありません。判断に迷う用途がある場合は、配布元に直接確認するのが確実です。

当サイトのフリー素材はどこまで使えるか

参考として、当サイトで配布している著作権フリーBGM著作権フリー効果音の条件をまとめます。詳細は利用規約をご確認ください。

項目条件
利用者個人・法人・公的機関を問わず
用途商用・非商用どちらも無料
使える先動画、ゲーム(同人・商用問わず)、配信、Webサイト・アプリ、映像・CM、店舗BGM、イベント、学校教材など
クレジット表記無料利用の場合はお願いしています(サイト名かURLのいずれかが含まれていれば形式は自由)
クレジット不要にする方法FANBOXの「商用利用フリープラン」(月額500円)加入期間中に制作された作品は表記不要
利用報告不要
著作権illmatic studio に帰属(利用許諾であり、譲渡ではありません)
禁止事項再配布・転載、素材自体を主コンテンツとする利用、自作と称する行為、著作権管理団体への登録、Content ID等への登録、AI学習データとしての利用など

つまり「作品の中で使う」ぶんには広く使えますが、権利そのものを持つことはできないという設計です。サントラに収録したい、Content IDに登録したい、独占して使いたいという場合はオリジナル制作をご検討ください。

費用で比べるとどうなるか

フリー素材は無料ですが、実際には探す時間というコストがかかります。1曲探すのに30分かかるとして、10曲そろえれば5時間です。その5時間を制作や宣伝に使えるかどうかは、判断材料になります。

オリジナル制作の費用は、当スタジオの場合こうなっています。

内容料金(税抜)
ジングル(10秒以内)1点 5,000円〜
30秒以内のBGM20,000円〜
60秒のBGM30,000円〜
2〜5分のBGM50,000円〜
効果音1点 2,000円〜
一括パッケージ(BGM5曲+効果音10点+マスタリング・ループ加工・書き出し込み)200,000円〜

料金が何で変わるのかはゲームBGMの制作依頼、費用はいくら?相場と料金を左右する5つの要素に整理しています。「タイトル曲だけオリジナルにしたい」という1曲単位のご依頼も承っています。

よくある質問

フリー素材で作った作品を、あとからオリジナルに差し替えられますか

できます。体験版はフリー素材、製品版はオリジナルという進め方は一般的です。ただし差し替え時に尺やループ位置が変わるため、実装の修正が発生する点は見込んでおいてください。

フリー素材を編集して使ってもいいですか

配布元の規約によります。当サイトの素材は作品内での利用の範囲であれば編集して構いませんが、編集したものを素材として再配布・販売することはできません。

生成AIで作ったBGMを使うのはどうですか

コストは下がりますが、学習データの出自や商用利用の可否、権利の帰属が使用するサービスごとに大きく異なります。商業タイトルで使う場合は、利用規約と権利の所在を必ず確認してください。この記事で扱える範囲を超えるため、判断は各サービスの規約に基づいて行ってください。

オリジナル制作でも安く抑える方法はありますか

あります。尺を短くする、編成をシンプルにする、アレンジ差分で曲数を稼ぐ、といった調整で費用は変わります。予算をお伝えいただければ、その範囲での構成案をご提案します。BGM・効果音の発注仕様書の書き方も合わせてご覧ください。

まとめ

  • 判断基準は独占の必要性・必要な権利の範囲・理想の曲が既に存在するかの3点。
  • プロトタイプ、UI音、汎用環境音はフリー素材で十分。
  • タイトル、エンディング、ボス曲、サントラ販売・収益化を伴う用途はオリジナル。
  • 全曲どちらかに寄せる必要はない。短尺の曲は安いので、要所だけオリジナルにする判断が現実的。
  • フリー素材は商用範囲・クレジット・Content ID登録の可否を必ず確認する。

どこをオリジナルにするべきか迷っている段階でのご相談も歓迎です。作品の内容をお聞かせいただければ、フリー素材で足りる部分と、作ったほうがいい部分を切り分けてお返しします。制作のご依頼ページからどうぞ。

要所だけオリジナル、という進め方もご相談ください

ゲーム音楽15年・ゲーム会社所属11年目のクリエイターが、作曲からミックス・マスタリング、ループ加工、納品形式の書き出しまで一貫して対応します。BGMは30秒20,000円〜(税抜)、効果音は1点2,000円〜。お見積もり・ご相談は無料、2営業日以内にご返信します。

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