ゲームサウンド発注チェックリスト【BGM・効果音の仕様書テンプレート一式つき】

ノートとペンとノートパソコンが置かれたデスク

ゲームのBGMと効果音を外注するとき、いちばん多い失敗は「予算が足りなかった」ではなく決める順番を間違えたことです。世界観が固まらないうちに全曲を発注してしまい、あとからアートの方向性が変わって作り直しになる。納品形式を決めずに進めて、実装の直前でループが繋がらないと気づく。どちらも、順番を入れ替えるだけで避けられる手戻りです。

この記事では、ゲーム1本のサウンドを外注する流れを、発注前の準備から納品後の実装確認まで、フェーズごとのチェックリストにまとめました。受注側として15年やってきて「ここでつまずく発注が多い」と感じる箇所を、実際に進む順番で並べています。個人開発でも、チーム開発でも、動画・配信用の音でも同じように使えます。

先に結論。発注は決める→数える→書く→確認するの順で進めます。最初に決めるのは世界観と実装環境で、いちばん最後に決めるのが曲の細部です。この順番が逆になると、修正ではなく作り直しが発生します。

発注が失敗するのは、決める順番が逆になったとき

手戻りの大きさは、「どの段階で決定がぐらついたか」で決まります。使ってほしい楽器が変わるのは微調整で済みますが、ゲームの世界観が変われば全曲作り直しです。実際によく見る手戻りは、だいたいこの3つに分かれます。

  • 世界観が後から変わった:企画書やアートが固まる前に全曲を発注したケース。ピクセル風からリアル風に寄せただけで、音の編成は全部変わります。
  • 尺とループが後から変わった:30秒のつもりで進めて、実装後に「短すぎて飽きる」となるケース。尺の変更は事実上の再作曲です。
  • 権利の前提が後から変わった:サントラ販売や実況動画への転用をあとで思いついたケース。契約の形が変わるので、金額ごと見直しになります。

どれも、発注側のミスというより「決める順番の問題」です。逆にいうと、世界観・尺・権利の3つを先に固めてしまえば、残りはあとからでも何とかなります。楽器の好みやテンポの微調整は、初稿を聞いてから決めても間に合います。

当スタジオでは軽微な修正2回までを無料でお受けしていますが、方向転換による全リテイクは追加費用(2,000円〜)となります。この境目を意識して順番を組むだけで、同じ予算でできることが増えます。

フェーズ1|発注前に決めておく6項目

ここで決めるのは曲の中身ではなく、プロジェクト側の前提です。所要は10分ほどで、ここが埋まっていると初回の見積もりがほぼ確定します。

決めること決め方の目安未定のときの対応
世界観・トーンスクリーンショットか企画書、1枚でも良いので絵を用意する絵がない場合は参考にしたい既存タイトルを3本まで
実装環境Unity / Unreal Engine / ティラノ / 動画編集ソフトなど未定ならwavだけ先にもらうとしておく
公開形態同人・商業・フリー公開・体験版の有無商業化の可能性があるなら先に伝えておく
権利の扱い使用許諾で十分か、著作権譲渡が必要か迷ったら「サントラ販売の予定があるか」で判断
予算の上限総額と、そのうちBGMに使う割合総額だけ伝えて、配分は提案をもらう
マスタースケジュール体験版や展示会など、音が必要になる日リリース未定でも「このイベントまで」だけ決める

この6つの中でもっとも後回しにされがちなのが実装環境と権利の扱いです。この2つは音の中身とは関係ないのに、後から変わると影響が全体に及びます。権利の違いはBGMの著作権、譲渡と使用許諾はどう違うのかにまとめてあるので、迷うときは先に目を通してください。

フェーズ2|曲数と効果音の点数を数える

次にやるのは、「何曲必要か」を感覚でなく画面から逆算する作業です。ここを数字にしておくと、予算の配分とスケジュールが一気に現実的になります。手順は単純で、ゲームの画面を上から順に書き出し、それぞれに音を割り当てていくだけです。

  • タイトル画面、メニュー、フィールド、戦闘、ボス、イベント、エンディングといった単位で並べる
  • 各画面に「必須」「あと回し」の印をつける
  • 必須のものだけを第1期の発注にする

ジャンルごとの目安は下の表のとおりです。これは「これだけあれば一周できる」水準で、多さを竊っている数字ではありません。

ジャンルBGMの目安効果音の目安最初に発注するところ
ノベルゲーム(短編)3〜5曲10〜20点タイトルと日常シーン
RPG(個人規模)8〜15曲30〜60点戦闘(通常)
アクション・シューティング5〜10曲40〜80点プレイ中のBGMと1本の攻撃音
ホラー・探索4〜8曲30〜60点探索中の環境音と足音
パズル・カジュアル2〜4曲10〜25点メインのBGMとUI音

曲数を抜き出す考え方の詳細はゲーム1本にBGMは何曲必要か、金額の目安はゲームBGMの制作依頼、費用はいくら?を見てください。予算が足りないときは、曲数を削るよりも「1曲を使い回す前提で設計する」ほうが結果が良くなります。同じ曲のイントロを変える、テンポを変えたverを安く作る、といった打ち手があるので、予算の上限を先に伝えてもらったほうが提案しやすいです。

フェーズ3|1曲あたり5項目だけ仕様書に落とす

仕様書というと構えてしまいますが、初回に必要なのは5項目です。使用シーン・尺・ループ有無・参考曲・避けたいもの。この5つが埋まっていれば、初稿の方向はほぼ合います。残りは「おまかせ」でも問題ありません。

とくに効くのが「避けたいもの」の欄です。作る側は、好みを探るよりも除外条件を知るほうが早く的に近づけます。「金管の派手なファンファーレは不要」「ボーカルは入れない」の2行で、修正回数が目に見えて減ります。

【最小限の仕様書(これだけでも発注できます)】

■管理名   :戦闘_通常
■使用シーン  :雑魚敵とのエンカウント戦闘中に流れる
■尺     :60秒(ループあり、イントロ別ファイル希望)
■参考曲   :「曲名 or URL」
 →参考にしてほしい点:ドラムのノリとギターの音色
 →参考にしなくていい点:メロディ、曲の展開
■避けたいもの :金管の派手なファンファーレ/ボーカル

効果音は点数が多いので、文章ではなく表で渡します。行の項目は「管理名・発生タイミング・長さ・質感・種類数」の5列で十分です。このうち種類数の列を忘れる人がとても多いので、ここだけは先に埋めてください。攻撃音や足音はランダム再生するものなので、同系統で3〜4種あるとプレイ中の印象が大きく変わります。逆に1種しかないと、プレイヤーは数分で「同じ音が鳴り続けている」と感じます。

項目の全体像と記入例はBGM・効果音の発注仕様書の書き方にまとめてあります。この記事では、それを実際の発注の流れに組み込んだ形で進めます。

テンプレート一式(4種類)の受け取り方

この先のフェーズで使うテンプレートを、まとめてお渡しします。中身はBGM発注仕様書、効果音リスト、修正指示、納品前チェックリストの4種類で、すべてテキスト形式です。スプレッドシートに貼り付けても、そのままメールに貼っても使えます。

発注テンプレート一式を無料でお送りします

メールアドレスをご記入いただくと、コピーして使えるテンプレートページのURLをすぐに自動送信します。発注を検討中の方でも、まだ企画段階の方でもご自由に。売り込みのメールは送りません。

    メールアドレス(必須)

    お名前・チーム名(任意)

    今回の用途(任意)

    ご入力いただいたメールアドレスは、テンプレートの送付と、それに関するご連絡以外には使用しません(プライバシーポリシー)。届いたメールにそのまま返信する形で、仕様の相談も可能です。内容の確認だけでも問題ありません。

    フェーズ4|初稿が届いてからやること

    初稿が届いたとき、さっそく全体を聞いて感想を返したくなると思いますが、順番があります。まず実際のゲームに乗せて聞くこと。単体で聞いていいと思った曲が、画面と合わせると主張しすぎていた、ということはよくあります。逆に、単体では地味な曲がプレイ中にはちょうど良いこともあります。

    その上で修正を依頼するときは、感想ではなく指示の形にします。つけるのは秒数と対象の楽器名の2つだけです。

    伝わりにくい指示伝わる指示
    なんとなく違うサビに入ってからの疾走感が弱い。0:40以降のドラムを増やしてほしい
    もう少し明るく上物のシンセを明るい音色に変えたい(調はそのままで良い)
    音が大きい0:20〜0:35のストリングスが前に出過ぎ。2〜3dB下げてほしい
    ループが気になるループの継ぎ目でレビールが切れて聞こえる。尾を長めに残してほしい
    作り直してほしい編成をピアノ主体に変えたい(方向転換なのでリテイク扱いで良い)

    右側の書き方なら、1往復で目的のところに着きます。さらに大事なのは、微調整と方向転換を口に出して区別することです。当スタジオでは軽微な修正2回までを無料、方向転換や全リテイクは追加費用(2,000円〜)としてご相談する形にしています。この区別があいまいなまま進むと、発注側も受注側も困ります。遠慮なく「これはリテイクになりますか」と聞いてください。

    もう一つ、マスタリング前の確認用ミックスの段階で方向を固めておくと、全体の手戻りが減ります。仕上げ後に編成を変えると、ミックスや音量調整をやり直すことになるためです。

    フェーズ5|納品後、実装で止まりやすいところ

    音が届いてから発生するトラブルは、楽曲の良し悪しとは別のところに集中しています。大半は形式とループ、そして音量の3つです。

    • ループの継ぎ目でプツッと鳴る:mp3は仕様上先頭と末尾に無音が入るため、ループ再生には向きません。ループさせる音はwavかoggを基本にします。
    • ビルドサイズが膝らむ:全部wavにして容量が足りなくなるケース。BGMはogg、短いSEはwavという使い分けが現実的です。
    • 曲によって音量がバラバラ:別のタイミングで発注した曲が混じると起きます。基準にする1曲を決めて、それに揃えてもらうのが確実です。

    形式の選び方とループポイントの渡し方はループBGMの納品形式に詳しく書いてあります。イントロ付きループを使うなら、イントロとループ本体を別ファイルでもらうか、ループ開始位置のサンプル数を添えてもらうかを、発注の時点で決めておくのが安全です。

    もう一つ忘れられがちなのがファイル名です。bgm01という名前で受け取ると、半年後に「これはどのシーンの曲だったか」となります。発注の時点で命名規則(例:bgm_battle_normal)を伝えておくと、その名前で書き出してもらえます。これは実装も後日の差分差し替えも楽になるので、最初から揃えておく価値があります。

    よくある質問

    仕様がまったく決まっていません。相談だけでもいいですか

    問題ありません。むしろ発注の半分以上は「まだ固まっていない」状態から始まります。画面のスクリーンショットか企画書を見せていただければ、こちらから曲リストの案を作ってお渡しします。

    テンプレートはどの形式で送ればいいですか

    メール本文でも、スプレッドシートの共有リンクでも、テキストファイルの添付でも構いません。効果音のように点数が多いものは、後で進行状況を追えるので表形式のほうがお互いに楽です。

    参考曲が思い浮かばない場合は

    「避けたいもの」だけ書いてください。参考曲がなくても、除外条件があれば方向は絞れます。参考にしたいゲームタイトル名を挙げていただく形でも十分です。

    途中で仕様が変わったらどうなりますか

    早めに共有していただければ問題ありません。着手前なら費用は変わりませんし、着手後でも段階によっては吸収できます。黙って進めて、完成後に伝えられるのがいちばん高くつきます。

    予算内に収まるか不安です

    総額の上限を先に伝えてください。その範囲で何ができるかをこちらから提案します。曲数を削る、尺を短くしてループ前提にする、編成を絞るなど、調整の方法はいくつかあります。見積もりとご相談は無料です。

    まとめ

    • 発注は決める→数える→書く→確認するの順。世界観・尺・権利を先に固める。
    • 発注前に決めるのはプロジェクト側の6項目。所要10分で初回の見積もりがほぼ確定する。
    • 曲数は画面リストから逆算する。予算が足りないときは削るより使い回す設計にする。
    • 仕様書は1曲5項目で十分。とくに「避けたいもの」が修正回数を減らす。
    • 修正指示は秒数と楽器名。微調整と方向転換を口に出して区別する。
    • 納品後のトラブルは形式・ループ・音量に集中する。命名規則も最初に決めておく。

    上のフォームからテンプレート一式を受け取って、埋められるところだけ埋めた状態で送っていただければ、その時点から相談を始められます。仕様が白紙の状態でも問題ありません。まずは1曲だけの試作から始める、という進め方もできます。

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    発注の順番の整理からお手伝いします

    ゲーム音楽15年・ゲーム会社所属11年目のクリエイターが、作曲からミックス・マスタリング、ループ加工、各種形式の書き出しまで一貫して対応します。BGMは30秒20,000円〜(税抜)、効果音は1点2,000円〜。お見積もり・ご相談は無料、2営業日以内にご返信します。

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