BGM・効果音の発注仕様書の書き方【コピペで使えるテンプレート付き】

BGM・効果音の発注仕様書の書き方を解説する記事のアイキャッチ画像

BGMや効果音を外注するとき、制作物の出来を決めているのは予算よりも最初に渡した情報の量です。「かっこいい戦闘曲をお願いします」だけで発注すると、上がってきた曲が想像と違い、修正のやりとりで時間も費用も溶けていきます。

この記事では、受注側が実際に「これが書いてあると助かる」と思っている項目を洗い出し、そのままコピーして使える発注仕様書のテンプレートを置いておきます。ゲーム開発でも、動画・配信用のBGMでも同じように使えます。

先に結論。仕様書に必要なのは用途・尺・編成・参考曲・避けたいもの・納品形式・権利の扱いの7項目です。とくに「避けたいもの」を書くと、修正回数が目に見えて減ります。

仕様書があると何が変わるか

  • 見積もりが正確になる:尺と編成が決まっていれば、初回の見積もりで金額がほぼ確定します。あとから「思っていた金額と違う」が起きません。
  • 初稿の精度が上がる:方向性のズレは初稿で起きます。ここが合っていれば、あとは微調整で済みます。
  • 修正が「感想」ではなく「指示」になる:仕様書という共通の基準があるので、「ここが仕様と違う」と具体的に指摘できます。
  • 複数人で発注しても揺れない:ディレクターとプログラマーで認識が違う、という事故を防げます。

逆に言うと、仕様書がないまま進めた案件はほぼ確実に修正が増えます。当スタジオでは軽微な修正を2回まで無料でお受けしていますが、方向性そのものが違って全リテイクになると追加費用(2,000円〜)が発生します。最初の10分で仕様を書くほうが、明らかに得です。

BGMの発注仕様書に書く12項目

項目書き方のポイント
楽曲タイトル(仮)管理用の名前。「BGM_01」でも構いませんが「戦闘_通常」のほうが後で混乱しません。
使用シーンどの画面で、どんな状況で流れるか。プレイヤーが何をしている最中かまで書くと精度が上がります。
秒数で。ループするかどうかも必ず明記。
ループの有無ループする場合、イントロを付けるか、頭から繰り返すかを指定。
テンポ感BPMが分かれば数値で。分からなければ「ゆったり/ミドル/速い」で十分です。
編成使ってほしい楽器。「ピアノ主体、ストリングス薄め、ドラムなし」のように主役と脇役を分けると伝わります。
ジャンルオーケストラ、チップチューン、ロック、アンビエント、ジャズなど。
雰囲気形容詞を3つ。「不安・冷たい・じわじわ迫る」のように並べると輪郭が出ます。
参考曲曲名かURL。どこを参考にしてほしいかを必ず添える。
避けたいものここが最重要。「金管の派手なファンファーレは不要」「ボーカルは入れない」など。
納品形式wav / ogg / mp3、サンプリングレートとビット深度。
権利の扱い使用許諾か著作権譲渡か。サントラ販売や動画転用の予定があるなら先に伝える。

納品形式の決め方はループBGMの納品形式、権利の考え方はBGMの著作権、譲渡と使用許諾はどう違うのかにそれぞれまとめています。

コピペで使えるBGM発注仕様書テンプレート

1曲ごとにこのブロックを複製して埋めてください。空欄のままでも構いません。「未定」と書いてあるだけで、こちらから質問を投げやすくなります。

【BGM発注仕様書】

■管理名   : 戦闘_通常
■使用シーン : 通常のエンカウント戦闘。雑魚敵と戦っている最中に流れる
■尺     : 60秒(ループあり)
■ループ形式 : イントロあり → 以降ループ(イントロ別ファイル希望)
■テンポ感  : BPM 150前後/速い
■編成    : エレキギター主体、ドラム、ベース、ストリングスは薄く
■ジャンル  : ロック寄りのオーケストラハイブリッド
■雰囲気   : 疾走感がある/前向き/重すぎない
■参考曲   : 「曲名 or URL」
        → 参考にしてほしい点:ドラムのノリとギターの音色
        → 参考にしなくていい点:メロディの雰囲気、曲の展開
■避けたいもの: 金管の派手なファンファーレ/ボーカル/エレクトロなシンセ
■音量感   : 他のBGMと揃えたい(基準にする曲があれば添付)
■納品形式  : wav 48kHz / 24bit + ogg
■権利の扱い : 著作権譲渡を希望(サントラ販売の予定あり)
■希望納期  : ○月○日まで
■備考    : 実装はUnity。ループはAudioSourceのloopで再生予定

埋めるのが大変に見えますが、実際に必須なのは使用シーン・尺・ループ有無・参考曲・避けたいものの5つです。残りは「おまかせ」で構いません。

効果音の発注仕様書テンプレート

効果音は点数が多くなるので、1点ずつ文章で書くと現実的ではありません。表形式のリストにするのがいちばん早いです。スプレッドシートでそのまま作って共有していただくのが理想です。

No. | 管理名 | 発生タイミング | 長さ | 質感・参考 | 備考
----+--------+----------------+------+-----------+------
01  | 決定   | メニューで項目を確定した時 | 0.2秒 | 短く硬い、電子音 | ピッチ違いで2種ほしい
02  | キャンセル | 一つ前の画面に戻る時 | 0.2秒 | 決定より低い音 | 決定と対になる音色で
03  | カーソル | 項目を移動した時 | 0.1秒 | 軽く、控えめ | 連打されるので耳に痛くないもの
04  | エラー | 選択できない項目を押した時 | 0.3秒 | 詰まった感じ | 不快すぎないように
05  | 剣で斬る | プレイヤーの通常攻撃 | 0.4秒 | 金属+風切り音 | 3種のバリエーション希望
06  | 足音(土) | 歩行中ループ | 0.3秒×4 | 乾いた土 | ランダム再生用に4種
07  | 雨(環境音) | 屋外の雨シーン | 30秒 | 中くらいの雨、雷なし | ループ加工希望

効果音でとくに書き忘れが多いのは「何種類ほしいか」です。攻撃音や足音はランダム再生するのが一般的なので、同系統で3〜4種そろえると質感が一気に上がります。1点ずつの発注になるため、ここは点数と費用に直結します。

参考曲の伝え方でよくある失敗

参考曲は最強の情報ですが、渡し方を間違えると逆に事故ります。

  • 参考曲だけ投げて終わり:受け取った側は「どこを参考にすべきか」が分かりません。テンポなのか、楽器編成なのか、コード感なのか、必ず添えてください。
  • 参考曲が5曲以上ある:方向性が拡散して、平均化した曲になります。多くても2〜3曲までに絞るのが安全です。
  • 参考曲どおりを期待する:既存曲に似せすぎると権利上のリスクが出ます。参考にできるのは雰囲気・編成・テンポまでで、メロディやコード進行をそのままなぞることはできません。
  • 参考曲がフル尺のオーケストラなのに予算が最小構成:編成の規模は費用に直結します。この不一致は最初に判明したほうが双方のためです。詳しくはゲームBGMの制作依頼、費用はいくら?相場と料金を左右する5つの要素を。

よい伝え方の例:「この曲のドラムのノリと、この曲のストリングスの重ね方を参考にしてほしい。メロディは似せなくていい」。これだけで初稿の精度が変わります。

修正指示の書き方

修正はどんな案件でも発生します。問題は、指示が「感想」になっているかどうかです。

伝わりにくい指示伝わる指示
なんとなく違うサビに入ってからの疾走感が想定より弱い。ドラムのキックを増やしてほしい
もう少し明るく短調から長調へ、というより、上物のシンセを明るい音色に変えたい
音が大きい0:20〜0:35のストリングスが前に出過ぎている。2〜3dB下げてほしい
イメージと違うので作り直してほしい編成をピアノ主体に変えたい(=方向転換なのでリテイク扱いで構いません)

時間(秒数)と対象(楽器名)を添えるだけで、修正のやりとりは1往復減ります。なお「明るくしたい」のような方向転換は、微調整ではなくリテイクです。当スタジオでは軽微な修正2回までを無料、方向転換や全リテイクは追加費用(2,000円〜)としてご相談する形にしています。区別があいまいなまま進むと双方が困るので、遠慮なく「これはリテイクですか」と聞いてください。

仕様が固まっていないときの発注方法

仕様書が書けないから発注できない、と止まってしまう必要はありません。むしろ多いのはこの3パターンです。

  1. 1曲だけ試作を出す:いちばん重要な曲(多くはタイトルか戦闘)を先に1曲だけ発注し、方向性を確定させてから残りを出す。
  2. 画面構成だけ渡す:曲のイメージは未定でも、どんな画面があるかは分かるはずです。それを渡せば、こちらから曲リストの案を作れます。ゲーム1本にBGMは何曲必要かも参考になります。
  3. ゲームのスクリーンショットや企画書を渡す:言葉より絵のほうが速いことが多いです。アートスタイルが分かれば、音の方向性はかなり絞れます。

よくある質問

仕様書はどの形式で渡せばいいですか

テキストでもスプレッドシートでも構いません。効果音のように点数が多いものは、表で管理できる形式のほうがお互いに追いやすくなります。

参考曲がまったく思い浮かびません

「避けたいもの」だけでも書いてください。参考曲がなくても、除外条件があれば方向性は絞れます。

仕様が途中で変わりました

早めに共有していただければ問題ありません。着手前なら費用は変わりませんし、着手後でも段階によっては吸収できます。黙って進めるより、その時点で言ってもらえるほうが確実に安く済みます。

BPMやサンプリングレートが分かりません

未記入で構いません。実装環境(Unity、Unreal Engine、ティラノスクリプト、動画編集ソフトなど)を教えていただければ、適切な形式をこちらから提案します。

まとめ

  • 仕様書の必須項目は用途・尺・編成・参考曲・避けたいもの・納品形式・権利の扱い
  • 「避けたいもの」を書くと修正回数が減る。参考曲は2〜3曲までで、どこを参考にするかを添える。
  • 効果音は表形式のリストで。同系統のバリエーション数を書き忘れないこと。
  • 修正指示は秒数と楽器名を添える。方向転換はリテイクなので、区別をはっきりさせておく。
  • 仕様が固まっていなくても、1曲だけの試作や画面構成の共有から始められる。

上のテンプレートをそのままコピーしてお送りいただければ、内容を確認して不足している点をこちらから質問します。仕様が白紙の状態からのご相談でも問題ありません。制作のご依頼ページからどうぞ。

発注仕様の整理からお手伝いします

ゲーム音楽15年・ゲーム会社所属11年目のクリエイターが、作曲からミックス・マスタリング、ループ加工、納品形式の書き出しまで一貫して対応します。BGMは30秒20,000円〜(税抜)、効果音は1点2,000円〜。お見積もり・ご相談は無料、2営業日以内にご返信します。

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